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2 我が国への国際テロの脅威

 イスラム過激派を中心とした国際テロの脅威が高まる中、我が国は、アル・カーイダを始めとするイスラム過激派からいわゆる米国の同盟国とみなされており、オサマ・ビンラディンやアイマン・アル・ザワヒリとされる者が発した声明等において、テロの標的として名指しされています。また、我が国には、イスラム過激派がテロの対象としてきた米国関連施設が多数存在し、これらを標的としたテロが発生することも懸念されます。
 こうした中、アル・カーイダ関係者であり、殺人、爆弾テロ未遂等の罪で国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配されていたフランス人が、15年12月にドイツで逮捕され、他人名義の旅券を使用して我が国に不法に入出国を繰り返していたことが判明しました。さらに、別のイスラム過激派メンバーが、同人と同居して我が国に一時滞在していたことが明らかとなるなど、国際テロリストが我が国に潜伏していた実態が明らかとなりました。
 我が国には、イスラム諸国出身者が多数滞在し、コミュニティを形成していることから、今後、イスラム過激派が、こうしたコミュニティを悪用して、資金・資機材の調達を図るとともに、様々な機会を通じて若者等の過激化に関与することが懸念されます。
 また、16年9月や17年10月のインドネシアにおける爆弾テロ事件等にみられるように、大規模・無差別テロの脅威は、我が国に地理的に近接した東南アジア地域にも及んでいます。
 さらに、海外では、現実に邦人や我が国の権益を巻き込んだテロ事件が発生しています。13年9月の「米国における同時多発テロ事件」等で邦人が犠牲になっているほか、17年5月にはイラクにおいて英国系民間警備会社が警備する車列が襲撃され、同社に勤務する邦人1人が行方不明となり、10月の「インドネシア・バリ島における同時多発テロ事件」においても、邦人が犠牲となっています。

3 日本赤軍及び「よど号」グループ等の動向

(1)日本赤軍
 13年4月、重信房子は、獄中から日本赤軍の解散を宣言し、翌月、日本赤軍も組織としてこれを追認しました。しかし、同年12月には、新組織「連帯」(後に「ムーブメント「連帯」」に改称)が発足し、事実上、日本赤軍の継承組織として活動を開始しています。
 現在、日本赤軍は、組織の建て直しと新たな活動拠点の構築を最優先課題として取り組んでいるものとみられ、テロ活動を再開する可能性は相対的に低下しているとみられます。しかし、その一方で、テロ組織としての性格を依然として堅持しており、その危険性に変化はなく、警察は、逃亡中のメンバー7人の早期発見・逮捕に向けた取組みを推進しています。

(2)「よど号」グループ
 「よど号」犯人9人のうち2人は既に逮捕されたほか、リーダーの田宮高麿ら2人は北朝鮮での死亡が確認されていることから、北朝鮮に残留しているのは、小西隆裕ら5人とみられています。なお、妻子らについては、18年1月17日現在、23人が帰国しています。
 帰国をめぐっては、17年11月、「よど号」グループの関係者が、18年夏までに妻子ら全員の帰国を目指す方針を明らかにしたと報じられています。
 また、14年3月、「よど号」犯人の元妻が、「田宮高麿の指示で、自分が有本恵子さんを騙(だま)し、北朝鮮に連れ出した」と証言したことなどから、「よど号」グループが日本人拉致(らち)容疑事案に深く関与していたことが明らかとなり、14年9月、警察は、有本恵子さんに対する結婚目的誘拐容疑で、魚本(旧姓・安部)公博の逮捕状の発付を得て、同人を国際手配しています。

声明を述べるアル・カーイダ幹部アイマン・アル・ザワヒリ
声明を述べるアル・カーイダ幹部アイマン・アル・ザワヒリ(8月)(時事)
我が国に潜伏していたアル・カーイダ関係者
我が国に潜伏していたアル・カーイダ関係者(時事)
日本が国際手配中のテロリスト
日本が国際手配中のテロリスト
日本が国際手配中のテロリスト
日本が国際手配中のテロリスト

 


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