<<前へ 目次へ 次へ>>

3 北朝鮮による主なテロ事件


 北朝鮮は、朝鮮戦争以降、南北軍事境界線を挟んで韓国と軍事的に対峙(たいじ)しており、韓国に対するテロ活動の一環として、これまでに、世界各地で工作員等によるテロ事件を引き起こしています。こうしたことなどから、米国務省は、キューバ、イラン、リビア、スーダン、シリアとともに、北朝鮮(1988年(昭和63年)から継続)を「テロ支援国家」の一つに指定しています。

1 韓国大統領官邸(青瓦台)襲撃未遂事件

 1968年(43年)1月、韓国軍人に偽装して同国に潜入した北朝鮮の武装ゲリラ31人が、朴正煕(パク・チョンヒ)韓国大統領ら韓国要人の暗殺を企図して、韓国大統領官邸(青瓦台)付近の路上で韓国当局と銃撃戦を行い、韓国側に多数の犠牲者が出ました。また、武装ゲリラのほとんどが韓国当局に射殺され、1人が逮捕されました。

2 ビルマ・ラングーン事件

 1983年(58年)10月、ビルマ(現ミャンマー)に潜入した北朝鮮の武装ゲリラ3人が、同国を親善訪問中の全斗煥(チョン・ドゥファン)韓国大統領らの暗殺を企図し、訪問先である「アウンサン廟(びょう)」において爆弾テロを引き起こし、韓国外務部長官ら21人が死亡し、負傷者は40人を超えました。

3 大韓航空機爆破事件

 1987年(62年)11月、日本人名義の偽造旅券を所持した北朝鮮工作員の金勝一(キム・スンイル)と金賢姫(キム・ヒョンヒ)が、バグダッド発アブダビ、バンコク経由ソウル行きの大韓航空機858便に時限爆弾を仕掛け、アブダビからバンコクへ向かう途中のビルマ南方アンダマン海域上空で爆破させ、乗員乗客115人全員を殺害しました。金賢姫の供述等から、同人らは、朝鮮労働党対外情報調査部に所属し、北朝鮮において、「ソウル・オリンピック(1988年(63年)9月)を妨害するため大韓航空機を爆破せよ」との指令を受け、犯行に及んだことが判明しました。

金賢姫の偽造パスポート
金賢姫の偽造パスポート(時事)

4 最近の動向

 「大韓航空機爆破事件」以後、北朝鮮の関与が明らかなテロ事件はみられませんが、1996年(平成8年)9月、韓国北東部で北朝鮮の潜水艇が座礁し、乗艦していた武装工作員らが韓国領土内に侵入する事件が発生しました。(武装工作員の一部は付近の山中で死亡しているのが発見され、また、一部は韓国軍との銃撃戦の上射殺されました。)1998年(10年)6月には、韓国領海内に侵入・漂流した潜水艇内から、9人の遺体と北朝鮮の自動小銃等が発見される事件も発生しています。

潜水艦侵入事件
潜水艦侵入事件
(1998年(平成10年)6月、韓国)(共同)

<<前へ 目次へ 次へ>>