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1 防災行政における警察の役割 昭和34年9月、約5、100人の死者・行方不明者や約3万9、000人の負傷者等の人的被害と7、000億円を超える物的被害をもたらした「伊勢湾台風」を契機として、総合的、計画的な防災対策を推進する必要から、36年11月に、災害対策基本法が制定されました。 同法では、「防災」の定義について、「災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、災害の復旧を図ること」と規定し、防災行政を「災害予防」、「災害応急対策」、「災害復旧」に大別しています。警察が行う災害警備活動の大部分は、この中の「災害応急対策」に当たります。 警察では、平素から災害危険箇所の点検等を行うとともに、災害の発生に際しては、災害警備本部等を設置して所要の体制を確立し、関係機関との情報交換に努め、現場に広域緊急援助隊を始めとする警察部隊、ヘリコプター等を派遣して情報の収集、救出救助、行方不明者の捜索、住民の避難誘導、交通規制等所要の災害警備活動を実施することとしています。 |
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2 広域緊急援助隊の創設 警察では、平成7年1月に発生した「阪神・淡路大震災」における活動を通じて得られた貴重な経験を踏まえ、大規模災害対策を一層充実するための対策について検討を行いました。その検討結果を受け、同年6月、大規模災害に即応でき、かつ、高度の救出救助能力と自活能力を併せ持つ災害対策専門の広域緊急援助隊を創設しました。 広域緊急援助隊は全国の警察に設置され、約4、000人の隊員で構成されています。同隊は、先行情報班、救出救助班、交通対策班、活動支援班から編成され、国内において大規模な災害が発生し、又は発生するおそれがある場合、直ちに被災地等に赴き、被害情報や交通情報の収集、被災者の救出救助、緊急交通路の確保等の活動に当たることとしています。 |
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我が国は、国土の約70パーセントを山地が占めており、限られたわずかな平野等に人口や資産が集中しているため、一たび、災害が発生した場合、大きな被害が発生しやすい自然条件下にあります。 毎年、多くの被害が発生しており、昭和29年から平成15年までの50年間における台風、大雨、地震等の自然災害による被害は、死者・行方不明者約2万9、000人、負傷者約13万8、000人に上ります。(警察庁まとめ) 近年、我が国においては、都市部における過密化、土地利用の高度化、地域の開発等が一層進展し、地下街、石油コンビナート、原子力施設等が増加し、さらには高齢化社会の到来等により、大規模災害が発生した場合には、甚大な被害が発生するおそれがあります。 このため、警察では、平素から災害危険箇所の調査、様々な事態を想定した災害警備計画の策定等に努めるとともに、広域緊急援助隊を含めた警察職員に対する教養や実践的訓練を行い、災害の発生時に迅速的確な対応が可能となるよう備えています。 |
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