●荒唐無稽な「権力謀略論」

 革マル派は、平成9年5月に発生した神戸事件について、「少年犯行説はデッチあげ」、「CIA主導の謀略的権力犯罪」などとおよそ健全な国民には理解されないような荒唐無稽な主張を機関紙等で展開していますが、こうした主張は、今に始まったことではありません。
 同派は、昭和49年ころから内ゲバ事件について、いわゆる権力謀略論を展開し始めました。その背景は、革マル派が中核派や革労協に対する党派闘争(内ゲバ)勝利宣言を発したこと(昭和49年)にあります。「勝利宣言」以降、「革マル派に対して白旗を掲げた」中核派や革労協は、もはや革マル派を攻撃する力を残しているはずがなく、「権力謀略部隊による攻撃の追認役にすぎない」とするつじつま合わせの主張が「権力謀略論」なのです。一方的勝利宣言を発したために“引っ込みがつかなくなった”状態を回避し、反権力意識の高揚と組織の結束という一石二鳥を企図した主張と言えます。
 しかし、内ゲバ事件の減少に伴い、こうした主張をする機会が少なくなってきたことから、最近では、O-157問題、JR列車防護無線盗難事件、警察庁長官狙撃事件や神戸事件等社会的反響の大きい特異事件をとらえて、「革命的左翼の壊滅や危機管理体制の強化などを目的とした国家権力の謀略である」などと「権力謀略論」を展開するようになりました。
 このような中で、警察は、革マル派が9年9月、神戸事件の被疑少年の精神鑑定を行った医師が勤務する兵庫県立光風病院に侵入して検事調書等を盗み出した事実を解明し、活動家8人を指名手配しました。
 さらに、これらの捜査の過程で同派が入手した検事調書のコピーを複数の報道機関に送付していた事実も判明しています。革マル派の主張する「権力謀略論」の結末は、まさに自らの謀略活動に依拠していた自作自演劇であったことが白日の下にさらされたわけです。

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<新聞記事>
左から
平成10年4月8日付 朝日新聞
平成10年2月25日付 毎日新聞、朝日新聞
平成10年4月10日、2月24日付 毎日新聞

    



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